ビジネスホテルに造った、和の中庭。
カエデやアセビなどの山の木々や下草を用いた、癒しの和空間です。

中庭へ出る扉を開けると根府川石の平板に据えた置灯篭があり、灯篭にシダが触れ合う姿が目に入ります。
錆びた渋い色合いの石灯篭が、水を打たれてしっとりと周囲の景色に馴染んでいます。

植栽部分の土留めは、シャープな節理の直線がモダンな印象の六方石。
植栽部分と砂利の海を不規則に区切り、動きを出しました。
石の間からウグイスカグラがのぞき、シダやヤブランなどの下草を添えて自然な景色を造っています。

植栽は種類と数を絞り相性の良い植物を寄り添わせています。
木や草の形や緑の色味の違い、質感の違いを考慮しました。

苔の間から顔を出す下草。
すべての緑はまるでここで芽生え育ったかのように、自然な配植を心掛けました。

白川砂利の海は見た目の印象を明るくし全体を引き立て、水打ちなどの管理がし易いスペースとなっています。

玄関前の植栽エリアには、山石・下草・灌木を不均等に配し、山の際の景色を表現しました。
既存のライトが灌木で隠れるように植えています。
足元にはスギゴケを張り、水を含んでしっとりした林床のイメージに。

丸みを帯びた鉢とシャープなラインの水穴まわりの対比がモダンな手水鉢は、既存の水鉢を上下でカットしたもの。
場に合わせた高さに加工して上を水鉢として使い、下の部分は景石として利用しています。

山の木々やシダなどの下草の緑、しっとりと濡れて落ち着いた色合いの石たち。
ホテルを訪れる方々が見て憩う、癒しの坪庭です。